「防火管理者」はどんな業種・規模だと必要?甲種、乙種?その基準をわかりやすく解説

「防火管理者」はどんな業種・規模だと必要?甲種、乙種?その基準をわかりやすく解説

オフィスや店舗に入居する際、内装工事やレイアウト準備ばかりに気を取られがちですが、実は入居前に必ず確認すべき重要な手続きがあります。それが 「防火管理者の選任」 です。

最近では管理会社や消防署から「防火管理者を選任してください」と求められるケースが増えています。
しかし、実際にどんな業種・規模で必要になるのか、意外と知られていないのが現状です。


防火管理者とは?

防火管理者とは、建物内で火災を未然に防ぎ、万が一の際に的確な避難誘導・初期消火を行う体制を整える責任者です。
主な役割は次のとおりです。

  • 消防計画の作成と届出

  • 避難訓練・消火訓練の実施

  • 消火設備・避難経路の点検管理

  • 火気設備の安全管理

いわば「職場の防災リーダー」として、従業員や来訪者の安全を守る重要なポジションです。

ある一定の規模以上のテナントに入居する場合、社員の中から一人以上「防火管理者」になってもらう必要があります。


管理者が必要な基準、まずは建物全体の規模から

防火管理者の選任義務は、消防法第8条に基づいて定められていますが、基準が少し複雑です。

まずは、入居する建物全体が「甲種防火対象物」なのか「乙種防火対象物」なのかを判定する必要があります。

用途分類 主な用途例 面積・人数の基準 判定結果
宿泊施設などが含まれる建物 病院、診療所(有床)、児童福祉施設、老人ホーム、ホテル、旅館など 収容人数 10人以上 甲種防火対象物
収容人数 10人未満 定めなし
特定用途(不特定多数が利用)のテナントが含まれる建物 飲食店、物販店舗、学校、劇場、集会場、美容室、クリニック(無床)など 収容人数 30人以上 かつ 延べ面積 300㎡以上 甲種防火対象物
収容人数 30人以上 かつ 延べ面積 300㎡未満 乙種防火対象物
収容人数 30人未満 定めなし
非特定用途(限られた人が利用)のみの建物 事務所、オフィスなど 収容人数 50人以上 かつ 延べ面積 500㎡以上 甲種防火対象物
収容人数 50人以上 かつ 延べ面積 500㎡未満 乙種防火対象物
収容人数 50人未満 定めなし

 

上記はビル全体での合計人数、合計面積の基準ですので、多くのオフィスは甲種もしくは乙種の「防火対象物」となるでしょう。

甲乙どちらかの防火対象物に該当する時点で「防火管理者」の選任義務が発生します。オフィスしか入っていないビルでは「ビル全体で50人収容できる規模だと、テナント毎に防火管理者は必要」ということになりますね。

次に確認するのはテナントの「収容人数」

その上で、今度はテナント(借りているフロア)のみで収容人数を数えます。この収容人数によって必要な管理者が「甲種防火管理者」がマストなのか、「乙種防火管理者」でも良いのかが決まります。

オフィスの場合は50人以上か、50人未満かがラインとなりますが、収容人数は下記の基準で算出します。

『従業者の数と,主として従業者以外の者の使用に供する部分の床面積を3平方メートルで除して得た数とを合算して算定する』

例えば、4階に勤務する従業員が40名、来客専用スペースが36平米ある場合は

40+(36÷3)=53

となり、50人以上という判別となります。

その結果

テナントの収容人数が50人以上のオフィスの場合 → 「甲種防火管理者」がマスト

テナントの収容人数が50人未満のオフィスの場合 → 「乙種防火管理者」でも良いし「甲種防火管理者」でも良い

という結論になるのです。


選任のタイミングと届出

防火管理者は、テナントの使用開始前に選任し、消防署へ届出を行う必要があります。
遅れると是正指導を受けることもあるため、内装工事完了~引越し前の段階で対応しましょう。

主な提出先は 所在地を管轄する消防署の予防課です。


届出に必要な書類

提出時には、①防火管理者選任届、②防火管理者講習修了証の写し、③フロア平面図(避難経路入り)④使用面積や用途のわかる資料をセットで提出します。

【防火管理者選任届の記入例】


講習は何日?誰がなれるの?

防火管理者になるには、消防署または消防協会が実施する「防火管理講習」を受講し、修了証を取得している必要があります。

乙種防火管理者 → 一日講習(代表者もしくは従業員)

甲種防火管理者 → 二日講習(企業の管理的立場にある者が望ましい)


その他の消防提出書類は?

他にもご入居時の提出書類として、防火対象物工事等計画届出書や防火対象物使用開始届出書があります。こちらは過去の記事で掲載している【防火対象物使用開始届出書とは?】をぜひご覧ください。

https://test.arrowers.co.jp/wp/knowledge/notification

 

 

消防署はなかなか一般の人が入りにくいイメージがありますが、実は地域に開かれた公共施設でもあるので気軽に相談に乗ってくれます。早めの相談がスムーズで安心な移転準備や開業準備につながります。迷う事があったら一度最寄りの消防署に訪問するこおとをお勧めします。

また、消防署のホームページでも「防火管理者」についての情報を得ることができますのでチェックしてみてください。

 

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